2011『貧乏神と福の神』
衣装、小道具、大道具製作風景

"
Deus da Pobreza e Deus da Riqueza"

(Binboogami to Fukunokami)
Vestuários, Cenários, Adereços
 
 
 
 

今回の芝居の舞台はブラジル奥地の移住地。
主人公である一家は貧しい農家…開拓当時の白黒写真をあさり、家の様子や衣服の型、開拓地の風景、そして貧乏な暮らしとはどういうものかを垣間みることで、徐々に舞台美術案が固まっていきました。
 土台の物語が神様の登場するおとぎ話なので、現実とは一風変わった「なんだかふしぎでおかしな絵本の中の世界」がそのまま舞台に現れたようなセットを作り上げました。
 因みに今回の素晴らしいセット制作を担当して下さったのは世界旅行中にユバに来訪し滞在中の石川理絵さんで、今までとはひと味違ってとても好評でした。

 
最初に作った模型
 
   

●図面集
場面転換が一回だけのシンプルなセット。大道具は、かたちの歪んだ白黒の絵がそのままハリボテに。
セット替えでは白黒の世界に部分的に色を差すことで、貧乏一家の暮らしが向上したことを表現した


セット配置図
正面からの配置図
 

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藤吉宅[右:セット替え後]
貧乏神が住む納屋[右:セット替え後]
 

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 虫食いだらけのゴヤバの樹
  背景には開拓時代の風景
 

Gonin otoko seizoroiGonin otoko seizoroi

        納屋前の藁や薪
  カフェの樹と原生林の残骸
 
食卓、椅子、棚
クド(かまど)、縄を干す台、カーテン
 

●セット制作


ゴヤバの樹を使って椅子・食卓の制作をする高山棟梁
でこぼこのゆがみが良い風合い
 
家や納屋などは段ボールで制作
セットが大きいので色塗りは舞台の客席で
 
背景の紗幕は描き直しの出来ない一発勝負
花道には開拓時代を象徴するカフェとトッコ
 

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舞台背景を覆う横幅9mの巨大な紗幕、家具は“貧乏ブルー”、セット替え後の花柄カーテン
 

●衣装制作
衣装も絵的な世界を貫くために襟などを一切つけない真っ白のつなぎの服を縫製して制作し、

襟、ボタン、柄、縫い目、さらに服の破れや繕いのあとなどなど、こだわりにこだわってすべて手描きした



Gonin otoko seizoroiGonin otoko seizoroiGonin otoko seizoroi

貧乏ブルーを基調とした貧乏一家の衣装。右端は貧乏神の衣装。柄は“貧”の文字
 

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村人の衣装はカラフルに。右端はブラジル版金ぴか福の神の衣装。“福”の文字で柄を描いた
 
ズボン部分は染色。インクでは出せない美しい色に
まっさらな白い布の上に描いていく作業中の理絵さん。
 

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細部にもあれこれ密かなこだわりが…。芝居を観た方々はいくつ気づいたでしょうか?
 

●小道具制作


縄も色を塗ることで絵の世界のものに変身
野菜も絵的で見事な仕上がり
 
舞台用の農具は軽い素材で制作
紙粘土で作ったぐにゃぐにゃな食器たち
 

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皿にはひび割れを描き、湯呑みには“七転八起”の文字。セット替え後に登場する花は薄紙で制作
 

●唯一のセット替えと多彩な照明効果


早朝の場面。白黒と青の世界
昼間の場面。セット替えして舞台が華やぐ
 
福の神の登場場面
フィナーレは真っ赤な夕焼け色
 
 
   

Gonin otoko seizoroi

 
   
 

ユバの舞台道具

 
ユバ農場の舞台「テアトロ・ユバ」で使われる衣装や道具は、その殆どが農場の手作りである。昔は、衣装を作る布も、砂糖や米、鶏の餌袋の木綿地を晒して使っていた。現在はそれらは皆ビニール袋になってしまったので、生地だけは購入しているが、デザイン、染めたり描いたり、縫製まで行っている。その他の大道具や小道具、時には照明器具なども製作する。
 
 勿論その元となる舞台も1961年に建て、78年に増築したが、全て手作りである。
50年を経てかなり老朽化し、今回のように雨期中のクリスマスでは大雨にぶつかることもしばしばで、そんなときにはあちこち"フルヤモリ"が現れ、少々恥ずかしい次第だが、これだけのものを新築することはなかなかに難しく、残念ながら現在に至っている。
 但し、使いやすさに於いては天下一品、間口10m×奥12mで袖は上下4m以上有り、楽屋は舞台のすぐ裏である。しかも舞台鼻まで道具搬入のトラックが横付けできる劇場はそう多くはないだろうと自負している。

 



 
 
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